
桃枝に憩う鳥
青緑の冠と金の環眼をもつ一羽が桃枝に端然ととまり、重ね描きの羽と淡い花が紙面の余白で呼応し、早春の静かな光をとどめる。
工筆の細密描写で、羽は一本一本が重ねられ、緑・赭・乳灰がやわらかく溶け合い、背の鱗文や尾覆羽の渦文も明晰に数えられる。鳥はわずかに振り返り、金の環眼は冴え、爪は瘦せた枝をしっかり掴む。桃の蕾とひとつのひらき花が軽やかな対角の調べをつくる。広い余白は温みを帯びた紙色を際立たせ、枝の下にほの見える下描きが制作の落ち着きを伝える。全体は、春の入り口に風の止むような、静かでやさしい気息を湛える。
- カテゴリー
- 花鳥画
- 制作年
- 制作年 未確認
制作の過程

1. 下描き

2. 白描

3. 設色
展示風景
