
果物を剥く老人
静かな側光の中、老人が果物を削る姿を、やわらかな水彩と緻密な線が、歳月の皺と刃先の一瞬をとどめて安らかな人間の気配へと結晶させる。
半身の側面像で構成され、灰青の上着と白い前掛けが抑制のきいた寒暖の対比をつくり、卓上の果物鉢と手中の赤みを帯びた果実が温かな焦点となる。透明水彩の層を重ね、肌の皺や手の血管、布の折れを明瞭な輪郭線と落ち着いた陰影で確かに描き起こす。余白の背景が所作の律動と静かな呼吸を際立たせ、刃が皮に触れる直前の刹那が、素朴で専心した生活の詩情へと変わる。
- カテゴリー
- 人物・水彩・工筆
- 制作年
- 制作年 未確認
- タグ
- 人物水彩風俗
制作の過程

1. 下描き

2. 白描

3. 設色
展示風景
